93年5月、もう1頭の妊娠馬「白菊姫」の出産シーンを見たいってことになり、
乳首の観察をしていたちこ太郎から「乳首の先にゼリーのようなものが出てきている今晩に違いない」と報告あり。

大体の生き物の生死は潮の満ち引きに関係すると聞いていた。
満ち潮と共に生まれ、引き潮と共に死んでいくらしいが迷信じゃないかと思っていた。

その日は「大潮」。満潮の時間に合わせて見に行くことにしたが、
明け方まで出産はないと決めつけ、泊り込むつもりで荷物をいっぱい用意。
おかげで満潮時間に10分ほど遅刻。すると

生まれとるやないか!

まだ体が濡れてる~。やっぱり潮は関係したんや!
出産シーンはのがしたけど2人で真夜中に感動したのを覚えてます。
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でも、数日経って子馬はだんだん元気がなくなっていった。
これはただ事じゃないと獣医さんを呼んだが点滴をするだけで、原因はわからず。
馬を飼っている近所のじいちゃんに聞くと、生まれてすぐに浣腸しないと最初の便が詰まって死ぬことがあるとのこと。
言われてみれば糞をしているのを見てない。
あわてて浣腸するも、硬い便が蓋のようになって動きもしない。
もう一度じいちゃんに聞いて針金をU字に曲げて便を掻き出して事なきを得た。
亀の甲より年の功であった。

このオス馬は死にそうになっても根性でお乳だけは飲んでいて
おっぱいに異常なほどの執着心があったことから「ちち丸」と名付けられたが、
恥ずかしくて登録名は「ちび丸」になってしまった。

生後2週間もするとやんちゃで甘えん坊になっていった。
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ちち丸は本当に天真爛漫な奴で何をされても従順であった。
下写真はちこ太郎お気に入りの1枚である。
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